色覚障害者の視覚特性の説明でよく見かける混同色という言葉がある。これは色覚障害者にとって見分けがつきにくく、同じ色として見えてしまう色というものである。解説書などでよく見かけるのはxy色度図上の混同色を線でつないだ混同線を示した図版である。この図版は色覚異常の特性に応じてP型、D型、T型があるが、出現頻度からP型、D型のみが示されることが多い。図中の同一線上の色は色覚障害者にとって見分けがつきにくいので、同一線上色同士の配色は控えるべきであるということである。
しかしながら、これらの図はxy色度によるものであることと明度に関する表示が無いため、具体的な色を連想することがむずかしい。そこで図中の混同色の座標をマンセル明度5に合わせてマンセル値の計算を試みた(表1,2)。混同線は無数に引くことが出来るため、無彩色を通るP型、D型、T型各混同線を求め、線上のマンセル彩度が整数値となる座標を求め、P型とT型、D型とT型の組合せで格子を組み、その交点を混同色とした。図1と2に於いて縦向きの混同線がT型の、横向きの混同線がP型、D型それぞれの混同線、交点が試作した混同色を示す。
各混同色のsRGB値から作成したカラー画像は下記リンクよりご覧いただけます。
〈研究第2部 小林 信治〉