去る9月18日、JAFCAカラークラブのイベント「まちシリーズ第1回 お江戸日本橋裏路地散策と交流会」が開催されました。縁あってこのイベントのお手伝いを致しましたが、事前に日本橋界隈の調査をしました。この事前調査によってまとめた日本橋界隈の色彩的特徴について、ここで簡単にご紹介いたします。
調査範囲は、三越本店前の大通りとその周辺です。裏路地の対象は、日本橋本町1丁目から4丁目の地域としました。十分に時間をかけて調査したわけではありませんが、その色彩的特徴を俯瞰して、特に興味深く感じられたゾーンをかなり主観的にではありますが抽出してまとめてみました。
調査対象の範囲と抽出したゾーンは図1に示すとおりで、測色対象は主要建築物のベースカラーです。以下にその特徴を記載します。
Aゾーンは三越、三井本館、日本銀行など伝統的な石造建築があるゾーンです。測色データをPCCS構成色の近似色でまとめると図2となります。黄やオレンジの色みを僅かに感じさせるペールトーンやライトグレイッシュトーンそしてホワイト系で、かなり狭い範囲に集中しています。
BゾーンはAゾーンの大通りの北に位置する地域で、大通りに面したビルのファサードを測定しました。Aゾーンの出現色に加えてブラウン系やダークグレイ系の色が出現しています。素材がタイルや金属板またガラスカーテンウォールなどが出てくることと関係があります。
CゾーンはAゾーンの通りの向かいにあるビル群です。おそらく立てられた年代がBゾーンと比較して一昔前なのでしょう。出現色も広がっています。もちろん小から中規模のビルが多く建っていることも一因でしょう。
Dゾーンは大通りに直行する通りのうち、商店街となっている室町仲通りです。ある意味で、日本橋を感じさせる色が出現しているという印象です。中彩度までの色を使って、日本橋にふさわしい雰囲気を作っていこうとする姿勢を感じさせる店舗も多く見受けられます。ただ、なかにはこの姿勢に逆らうような自己主張の強い看板を上げて雰囲気を阻害している店舗があるのは残念です。
Eゾーンはこのイベントのテーマでもある路地裏です。生活の香りがする小路で、真中を排水の溝が通っていた名残があります。民家の外壁として出現する土壁や板の色が、最もなじむ環境で、やはりそのあたりの色が多く出てきます。飲食店として使っている家も多く、一度は暖簾をくぐりたくなる風情です。