フルカラー複写機がオフィスに入り始めた。カラー複写機の普及は、赤一色や青一色という単色カラーから始まった。現在では数千色以上の色を出すことのできる機種が量販されている。単色カラー複写機に至っては個人向けになり、商店のチラシや年賀状造り等に利用されている。
フルカラー複写機の現在の課題は「いかに正確な色再現をするか」にある。こうした現状にタイミング良く新しいJIS規格「フルカラー複写機用テストチャート」(B9524)が設定された。この規格はフルカラー複写機の色再現を使用者が容易に比較できるように、テストチャートについて規定したものである。
規格はテストチャートの形態,材質,レイアウト,色パッチ等を規定している。このうち‘いろパッチ’は7色の刷り色で網点面積を変え、計18色である。しかしながら、7色の刷り色については、それぞれ色名と特定の波長における印刷濃度が規定されているだけである。図の試料は一般にそれぞれ黄色,赤色,茶色と呼べる色であるが、いずれも432nmの濃度が黄の刷り色の規定を満足してしまう。これは極端な事例であるが「黄」と呼べる色を複数得ることは容易である。
色再現の評価を目的と
する色指定では、分光反射率を規定することが理想的であるが、少なくともマンセル記号を規定するなど、色彩光学的な立場からの色指定が必要と考えられる。