最近、カラー粘着フィルムが、塗料、インスタントレタリングなどのメーカーから販売されているが、その中にDICカラーガイドのカラー番号をつけて100色の色揃えをしたものがある。デザイン系の利用を狙ったものであろうが、色数の多さから広範囲な用途に利用できるであろう。
色見本は、一呼称に対して唯一色が理想であるが、現実には色見本を厳密に一定に保つことは困難である。DICカラーガイド自身も版数を記載したり、「カラーチップ添付」を呼びかけるなどして、無用の混乱を避けようとしている。 [DICの〜〜番」という色呼称がついた他の色材による製品がでたことで、利用者はよりいっそうの注意が必要である。また、フィルムは透過性が高いため下地の影響を受けやすい。
異なる色材間で色を評価するときに重要なのが条件等色である。たとえば「夜間、事務所の蛍光灯下で同じに見えた2色が、日中の日向で見たときに異なる色に見える」あるいは「白熱電球のスタンドと蛍光灯のスタンドで色の見え方が違う」などという現象である。
今回のサンプルは、DICカラーガイド第10版およびDICNo.のついた粘着フィルム。色はカラーガイドの基本色から、561(
赤),572(緑),577(青)の3色とした。DICはアート紙。
分光曲線図の572番の対の680〜750nm付近を見ると、互いに交差し山と谷が入れ替わっている。この付近に強い光をもつ照明で照らすと、この違いが強調されて色違いとして見える。577番の対も750nm付近で交差があり、この付近に強い発光をもつA光源で違いが大きく現れる。仮にD65(北窓昼光)照明下で各対が等色だとすると、各照明下で次のような色差をもつと考えられる。