企業は自社製品の個性をアピールするため様々な工夫をこらしている。個性の出し方としては機能、色、パッケージ、キャッチコピーなどがあるが、果たして色に個性は現れているのか。商品サイクルが短い飲料業界は特に熾烈と聞く。今回は緑茶飲料を取り上げた。試料として個性的な印象のキャッチコピー表示している5点を選んだ。
<資料> | <キャッチコピー> | L* | a* | b* | C* |
A: | 石臼挽き抹茶ひとつまみ | 92.2 | -6.2 | 24.9 | 25.6 |
B: | ひときわ味が豊かに、おいしさは香り | 93.5 | -4.6 | 20.5 | 21.0 |
C: | かおり爽やかあまみ豊か | 91.9 | -6.5 | 33.6 | 34.2 |
D: | 急須でいれたような、にごりの旨み | 89.8 | -6.7 | 31.1 | 31.8 |
E: | ひときわ濃くておいしい、濃い味 | 92.2 | -7.8 | 33.4 | 34.3 |
測定は日本電色工業製 分光色彩計SD6000により、光路10mmのセルを用いて分光透過率を測定し、C 光源2度視野にてCIELAB値を求めた。CIELAB値は反射色用の表記方法であるが、わかりやすいために敢えて用いた。
Dは目視で明らかな濁りがあり、全波長にわたる透過率の減少につながっている。試料間の差異が580nm付近では差異は見られないが480nm付近で顕著となる。680nm付近に透過率の低下が見られるのはAとD。この波長は葉緑素の吸収波長に相当する。抹茶の粉末やにごりの元に由来するかもしれない。
L*は明るさ、C*はあざやかさであるからB、A、CとEの順に色の濃さが増していることが判る。Dは前述のように濁りによりL*が低下している。測色値からはL*の低下が濁りによるものかどうかを断定はできないがもっとも濁りのあるDがもっとも低い値となった。
これらの結果から、キャッチコピーに使われるキーワードど測色値の関係を見ると-「抹茶」が葉緑素、「濃い」はC*が大きく、「にごり」はL*と葉緑素、「香り、かおり」はL*が大きい といった関連を伺わせる。 〈小林 信治〉