印刷インクによる色見本には有名どころがいくつかあるが、東洋インキのCOLOR FINDER(以下DF)とDICのDICカラーガイド(以下DIC)を測定する機会があったのでその比較をしてみた。
DICは1967年から現行19版が昨年9月に販売された。CFは1964年から現行15版が2005年から発売されている。色数はCFが1079色、DICが652色である。
まず、2つの色見本で色差のもっとも少ない組み合わせを探してみた。つぎに、その幾つかについて条件等色指数を計算した。条件等色指数とは、2つの物体色について、ある基準光源下(今回はD65とした)で等色(色差=0)したとき、他の試験光源下で色差がどの程度生じるかというものである。以下、その結果を紹介する。
組み合わせA,B,Dは光源によって指数が大きくなっていることから、色差が大きく見えることがわかる。C,E,Fは各種の光源下でも指数が小さく、見えがよく一致して見えることがわかる。分光反射率分布をみると、その様子がよくわかる。組み合わせEとFでは視覚的には大差ないが、短波長側でずれが大きくなっている。
色材が異なると条件等色が問題となることは知られているが、同じ色材であってもメーカーが異なれば同様に条件等色が起こりうることを承知していなければならない。我々が受ける質問の中に多くあるのが「DICXXXはTOYOの何番か?」とったぐあいのものであるが、全く等しい色を探すことは至難といえる。
(小林 信治)
<追記>
DIC-587は蛍光色であるため、またDIC-168はメタリック色であるため、測定色差と目視とは一致していない。