食紅は手軽に入手でき、比較的安全性が高い染料であろう。そのため、料理以外にも子供向け工作等の着色剤として利用されることが多い。そこで、入手できた4色の食紅を利用して、簡単な混色実験を行ってみた。用意した4は赤(赤色102号)、黄(黄色4号)、緑(黄色4号+青色1号)、青(青色1号)
(かっこ内は含有色素名) 。成分表によると緑は黄と青の色素であった。
これらを低めの濃度で水に溶くと透明性の高い色水を作ることができる。まず、濃度1%から0.01%までの水溶液を作り、分光透過率を測定した。(図1〜4)。 濃度が薄くなると、透過率が高くなり、分光曲線の変化も緩慢になる。また、濃度が濃くなると透過率が下がることがよく分かる。
次に混色をしてみよう。緑は混色であるので除外して、典型的な分光曲線の形状を示す基本の濃度として赤と黄は0.2%溶液、青は少し薄い0.1%溶液を選び比較した(図5)。
次に、混色として、赤と黄でオレンジ、黄と青で黄緑、緑、青緑、青と赤で紫、赤紫をそれぞれ適量ずつ混ぜて作ってみた(
図6)。 必ずしも目的の色になってはいないが、色相の変化と分光曲線の変化が対応づけられる。緑は黄と青の特徴を合わせていることも分かる。
基本色を同量ずつ混ぜても必ずしも真ん中の色にはならず、赤と黄は赤みのオレンジ、黄と青は暗い緑、青と赤は暗い紫となった。同量で混ぜてちょうど中間の色にならないのは、食紅に含まれる色素の量が異なるし、色素の持つ着色力も異なるのだからやむを得ない。紫、赤紫については透過率が低すぎて分光曲線がわかりにくいので2倍に希釈した。希望する色を自在に作ってみたいのならば、それぞれの食紅に応じて適当な濃さの原液を作ってからでないと厄介かもしれない。
シアンとマゼンタの食紅が市販されていないのが実に残念である。(小林 信治)