秋の味覚として、なじみの深いさつまいもを取り上げてみた。さつまいもは中央アメリカ原産でのヒルガオ科という。16世紀末日本に伝わり、1734年に薩摩藩から江戸幕府に献上されたことからこの名が付いたらしい。平成15年度の加工用を含む自給率は94%というからすごい。
さつまいもは加熱すると内部が甘みを増し、黄色くなる。β−アミラーゼという消化酵素が、加熱により糊化したでん粉に作用し、麦芽糖という甘味成分を生成するためという。よりおいしくするためには65〜70℃で加熱するのがポイントらしい。黄色みが増すのは、水分を含みでんぷんがのり状化する事によって透明化し散乱が減る為だろう。
今回の試料は、紅あずまと金時(高系14号らしい)の2種。紅あずまはふっくら、金時はスリムな外形をしている。外皮の色はほぼ同じであるが紅吾妻のほうがやや明るく鮮やかであろうか。凹凸も有り、個体差もあるであろう。断面の色は明らかに異なり、紅あずまはうすい黄色、金時はごくうすい黄色。色相,明度は同じだが彩度が異なるように見える。外皮の測定は、なるべく平らな部分を選んだが理想適とは言い難かった。断面は切断面を測定したが樹液の様な白色の汁がにじみ出てきたため、濡れ布巾で包み乾燥を防ぎながら汁を吸収しつつ汁がとまるまでしばらく待ってから測定をした。
茹でてみた。前述の最適温度よりは高温での処理となってしまった。外皮の色はやや薄くなった感じ。特に紅あずまはその印象が強い。断面は共に暗くなって彩度が上がった。暗くなったのは透き通ったからと言った方がよいだろう。彩度感は紅あずまのほうが高く、うすいとの印象は無く黄色。外皮の測定は、測定面を平坦にするため厚さ2mmほどで削いで白紙の上において測定をした。断面は厚さ2cmほどの輪切り状の断面を、水分を取ってから測定をした。
(測色資料担当)