COLOR No.131掲載
吉岡氏の伝統の色(光村推古書院刊)から法隆寺赤地獅子鳳丸文蜀江錦『京都川島織物収蔵の法隆寺伝来の蜀江錦を照合した。臙脂綿で染められた赤地と蓼藍・刈安の掛け合わせによる草色、槐・臙脂綿の山吹色、蓼藍の縹色の3色によって、見事な獅子鳳丸文が織り込まれている。』を測定した。
非常に鮮やかな赤地を染めるために用いられた臙脂綿(えんじわた)は、インドのガンジス川流域に生息するイヌナツメの小枝につく貝殻虫の樹脂状の分泌液を希アルカリ水で溶出させた染料を、綿にしみこませて乾燥させたもので、奈良時代に輸入されたとされている。江戸時代では友禅に利用され、中国製の臙脂綿が年に数万枚輸入された記録が残されている。また、槐(えんじゅ)はマメ科の落葉喬木で、花の蕾からとれるルチンが主成分の黄色系染料である。中国では明の時代から珍重されていたといわれている。測色値からは、鮮やかな赤地に対照色によって獅子や鳳の模様が織られた華麗な錦が想像される。
【研究第2部】 TEL 048-794-3831 FAX 048-794-3901 kenkyu2.info@jcri.jp 測色業務をお受けしています。 詳しくはこちらをご覧下さい