有珠山の噴火騒動の陰に隠れて、盛り上がりにかけたきらいがある春の甲子園であったが、桜前線に合わせるように開幕したプロ野球がにぎわっている。 スポーツ新聞の1面でも連日のように野球のニュースが踊っている。その紙面をみると、ピンクやベージュなどを地色に使った編集がなされ、カラー化が進んでいることに気づく。 このカラー化について一つ考えさせられたことがある。 白抜きで鮮やかな青や赤を使って新聞社の個性を打ち出しているのは結構であるが、薄い色を地色にして墨で印刷された活字が色によって読みづらいことである。老眼にさしかかっているものにとって、あまり明るくない地下鉄などで読むときには、特に感じられる。教科書のカラー化では色覚異常者に対する配慮の必要性が指摘されたが、新聞のカラー化では可読性に対する配慮がどの程度なされているのだろうか。
そこで、とりあえず今回はN誌に使われている色の測定を行ってみた。何日かにわたって集めたもので、印刷行程でのばらつきが当然あると思われるので、あくまで目安として見ていただきたい。
主として文字を白抜きで使用しているものを高彩度グループ、文字を墨で印刷して使用しているものを低彩度グループとしてある。 文字の可読性には、輝度コントラストの寄与が大きいことが知られているので、低彩度グループについてコントラストを計算してみると、紙に墨の場合が最大で0.85,緑1が最小で0.81になる。 それほど大きな差ではないが、コントラストと視力の関係を調査した結果を当てはめてみると、0.2前後の視力低下が生じることになる。実際に紙面を読むと、緑1及び緑2は読みづらいように感じるので、コントラストの低下に対する配慮が必要なように思える。