今年は西太平洋上での台風の発生が遅れているらしい。南米ペルーおきの海水温度が上昇するエルニーニョ現象の間接的な影響によって大気の循環が変化したためではないかという。
エルニーニョ現象という言葉はすっかり定着した感があり、異常気象の代名詞のように使われている。 今年のエルニーニョ現象は観測史上最大級ということであるが、やっと終息したとの報道がありほっとしたのもつかの間、今度は海水温度が平均より低くなりすぎるラニーニャ現象による気象への影響が心配だと話題になっている。こうなると以上気象とか平年並みとかの言葉が色あせて感じられ、地球環境の変化が心配になる。しかし、著名な地球物理学者の、地球誕生から現在までの長いスパンでの環境メカニズムで見れば、それほど異常ではなく心配入らないとの声もある。 地球環境の変化は確実に起こっているのであろうが、つかみ所のない話である。
花色でつかみ所のないといえば梅雨時におなじみの花木、アジサイである。 咲き始めは薄い青色をしていた物が、だんだんとピンクや赤紫色に変化するなど七変化する花として親しまれている。
アジサイはよく知られているように装飾花と呼ばれる「がく」が花弁状に大きくなった物とがく、花弁とも小さい両性花と呼ばれる種類に分けられる。 前者はアジサイや西洋アジサイがその代表であり、後者はガクアジサイがその代表である。 ガクアジサイの名は両性花の周囲に数片の装飾花が有り、その装飾花を額にたとえたことに由来する。 観賞用に西洋で品種改良された西洋アジサイは鉢植え用として2月頃から出荷され、装飾花の花弁と大きく花色も多様である。 西洋アジサイには甚だしく七変化する物があるが、色に関係なく色素はアントシアニンであり、色の変化が色素の種類による物でないことが知られている。 七変化の原因としては、花木を育てるときの土がアルカリ性(色はピンク)であるか酸性(色は青)であるかによるとするpH説、土中の鉄やアルミニウムなどの金属元素が吸収されて青くなるという錯体説などがあげられている。 しかし、様々な色が、咲き分かれているアジサイもあり、七変化の原因も花色同様つかみどころがない。
今回は、児童公園で自生していた西洋アジサイを採取して測定してみた。 花色はピンクから青に咲き分かれていた物で、色の変化の順に測定した。分光分布の変化の様子とマンセル値の変化を比較すると、アジサイの七変化の様子が分かる。 確かに色素はアントシアニン1種類のようである。
但し、今回測定した青の花色はガクアジサイの青に比べてやや薄い種類のようで、赤紫とともにやや色の範囲がせまい結果になっている。