稲刈りが終わった後の落ち穂を雀の群がついばんでいる。そんな光景が見られると残暑も峠を越し、秋の気配が感じられるようになる。夏の太陽のエネルギーを全身に浴び、太陽に負けじと鮮やかな黄色に咲き誇っていた向日葵の首がたれ、次に咲く花輪が次第に小さくなって夏の花の主役が去っていくと、楚々とした姿の秋桜(コスモス)が咲き始め、季節の交代を告げる。
静かに流れゆく自然を一寸したきっかけで感じることがある。食卓を飾る料理であったり、知人の冠婚葬祭であったり様々であるが、衣更もその一つであろう。平安時代では、4月、5月、8月、9月及び10月に袷、帷衣(かたびら)、生絹(すずし)、綿入及び練衣にかえることがおこなわれ、江戸時代になって4月1日と10月1日に春夏の衣をかえる日として、今日の習慣として定着している。
しかし、ここ数年の様子を見ると、ファッションの多様化や気象環境の変化から、10月半ばを過ぎても半袖や薄手の衣服をまとった若者が街を歩く姿が見られ、衣更という言葉も天気情報での季語になってしまい、また一つ日本の古き良き風習が消えていくようで寂しい感じがする。
今回は、元荒川の土手沿いに咲いている秋桜を測定してみた。秋桜は、秋に咲く可憐な野草として親しまれている。最近では、あちらこちらに○○のコスモス街道と称した群生地を作り、観光の目玉として宣伝しているところもあるなど、日本人の感性をくすぐる秋の花の一つである。色名のコスモスは、ギリシャ語でいう宇宙の整然たる秩序のことであり、やや濃いめの紫みのピンクをいうようである。ところが、実際に群生しているものを見ると、花弁の形態も少しづつ異なっており、白から濃い赤紫まで様々なものが見られる。
秋桜/1は、花弁の周囲が濃いピンクで中が白のもので、見た目にはもう少し彩度が低く感じられる。
秋桜/2が色名帳などに見られるコスモスの代表的な色に近くdeep purplish pinkに該当する。
秋桜/4は、どちらかというとフューシャ・ピンクと呼ばれる色名に近く、deep purplish redになる。ちなみに、フューシャ・ピンクは、フクシア(ツリウキソウ)の花の色にちなむ色名であり、1859年に発見された人造のアニリン染料がフクシアの花の色に似ていることから、染料の名前を表すのにフューシャ・ピンクという色名があてられたことで知られている。