一般財団法人日本色彩研究所
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<研究1・2部報> PCCS用語検討会議 第1回会議開催される

COLOR No.176掲載

 カラーシステム「PCCS」は国内の教育界、産業界において広く知られ、最も利用されているカラーシステムの一つです。それはPractical Color Co-ordinate Systemの略記であり、日本色研配色体系という呼び名もありますが、現在では一般にPCCSの名で呼ばれています。このシステムは弊所の細野尚志氏を中心に1960年代に開発され、1965年にこの名称と共に広く内容が公開されました。その後、PCCSは書籍やカラーカード類を通して普及し、複数の色彩に関する検定で使用されるなど、特に色彩教育における定番のカラーシステムとなっています。
 PCCSは書籍や講義により広まりましたが、その用語には明確に定義がされていないものもあり、著者や講師の解釈により用語や考え方について異なった説明がされていることがあります。そこで、この度赤木理事長による提案のもと、システムで使用されている用語などの意味を明確にし、弊所の公式見解を公開するために以下の事業を進めることになりました。最初に所内による検討会議を開き問題を討議した後、次いで外部有識者を含むPCCS用語検討委員会を立ち上げることにしました。これは原点にかえり、PCCSの理念や目的に沿った、そして現代に適した定義を研究所として発信していく必要性があるとの考えに基づくものです。
 7/14に第1回会議が開催されました。その概要を報告いたします。
 事前に研究員各自によりPCCSについて疑問に感じている様々な点を挙げてもらい、当日はそれらについて検討、討議を進めました。参加者は弊所メンバーに加え、日本色研事業株式会社で長年にわたりPCCS製品を開発検討されてきた松家雄一氏にご参加をお願いしました。松家氏は創案者の細野氏と話をされながらPCCSに関わる製品を作られてきた方で、細野氏の考えや検討過程をお伺いでき大変に参考になりまた。検討項目は以下の通り。
 ・名称(PCCSとP.C.C.S.)と商標登録
 ・誕生年 PCCS調和論の考え方は1964年に細野による『Color Harmony Palette』の中で述べられている。「プラクティカルカラーコォーディネイトシステム」という名称が述べられたのは1965年の『Basic Color System Ⅰ』の中のこと。
 ・色相環の対向色相は心理補色か
 ・加法混色の3原色の色相番号
 ・暖色系、中性色系、寒色系の色相番号は?
 ・表記 色相+トーン略記号のことを何と呼ぶか
 ・オフニュートラルのPCCS表記
 ・ストロングトーンは純色か中間色か
 ・明度8.5の無彩色はホワイトかライトグレイか
 ・黒の明度は1.0か1.5か 等
 次回はPCCSの配色形式などについての検討を行う予定です。

Basic Color System 1(1965)より

〈名取 和幸〉

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