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<研究1部報> LEDランプによる表示色の分かりにくさに関する確認実験

COLOR No.174掲載

 色覚異常の方が区別しにくい色の例として、次のような組合せが書籍に挙げられている。「赤と緑、オレンジと黄緑、緑と茶、青と紫、ピンクと白と灰色、緑と灰色、ピンクと水色、赤と黒(1型色覚の場合)」。ところがこれらは物体の色の場合であり、光の色になるともっと色の区別をしにくくなる。例えば赤と黄。同じ場所に置かれた物であれば、赤は黄よりも暗いという明度情報が生かされ、赤と黄のカードの区別は難しくない。しかしながら小さなカラーランプだと、明るく光る赤いランプと、暗く光る黄色いランプでは明るさが手掛かりにならず、赤ランプと黄ランプの区別はつきにくい。特にLEDランプのように狭い波長範囲が光る対象の場合には、最も色を区別しにくく、赤~オレンジ~黄~緑のLEDはどれもが同じ色に見えると言う。
 先日、色の区別しやすさについてLED の単独光(光源色モード)と、PCの液晶画面(物体色モード)で異なることに関する確認実験を行ったので紹介したい。なお本実験は、公益社団法人色彩検定協会の支援を受けて実施された。

条件1)LEDランプの色の識別

 提示刺激として、照明スタンドにLEDランプ1個を取り付け、その明るさを調整できるようにしたものを用意した。色は、白色、電球色、赤(長波長)、赤、オレンジ、黄、黄緑、緑、青緑、青の10種類で、簡易的に正常3色覚の人が目視で明るさがほぼ同じに見えるようにした。

 それらを横に並べて(上図)、1型2色覚、2型2色覚各3名ずつに提示し、色のグループ分類、個々の色名呼称等についての評価を求めた。
 色の分類結果は1型と2型の2色覚でほぼ同様な結果で、赤~黄緑のLEDの色はほぼ同じ色に見えると回答された。他に、色温度の高い白色と、青は、それぞれ他のランプの色とは全く違う色に見えるという。また、電球色のランプは青緑のランプの色と似た色に見えるということである.

条件2)液晶ディスプレイ

 ノートPCの液晶ディスプレイに、パワーポイントで白背景、黒背景の画面を出し、赤、オレンジ、黄、黄緑、緑の小円を一直線上に並べて提示した。色の見え方が似ているものを近くに、似ていない色を遠くになるようにマウスで小円を移動させた。提示色には赤、オレンジ、黄、黄緑、緑の純色5色と、その5色相で明度5、彩度8に当たる色を用意した。
 その結果、白背景の純色は、1型2色覚では、概ね赤(暗い灰色、茶色かもしれないと言う)、緑、オレンジ-黄緑、黄色に分類され、2型2色覚では赤・緑、オレンジ・黄緑、黄色に分類された。なお、同じ純色でも背景を黒にすると、白背景よりも色みが強まり、色名が浮かびやすくなるというが、その分類には大きな影響はみられなかった。一方、明度と彩度を揃えると、色の区別は若干できる色もあるが、色名は想像がつかないという。
また純色24色相の小円による色の分類をしてもらったが、全員が赤・緑と、黄色を別のグループに分類し、液晶画面においては赤と黄は区別されるという結果だった。

LEDランプの色分類 液晶画面での色分類例




液晶晶画面での純色24色の色分類例

 調査最後に色光表示に関する困りごとを伺ったところ、参加者全員が、電子機器のオンオフや充電状態を示すためのLEDの赤と緑や、赤と黄色が同じ色に見えるため、今の状態が分からず本当に不便であると答えらえれた。LEDでも赤、白、青の色は区別はしやすいため、今後は緑ではなく青色のLEDへの変更が望ましいといる。

〈名取 和幸〉

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