<研究1部報>第12回国際流行色大会(12th International Fashion Color Conference)報告
COLOR No.173掲載
第12回国際流行色大会が、上海のやや西、杭州のやや北に位置する浙江省湖州市で10/20に開催されました。招待講演者としてオンラインで参加しましたので、そのご報告をいたします。
本大会は、第2回織里チルドレンズ・ファッションウィーク(2nd Zhili Children’s Fashion Week)の関連イベントとなります。湖州には中国の服飾メーカが集中していますが、中でも織里(ヂィリ)には14,000以上の子供服の企業が集まり、年間15億着の生産により90億ドルの収入が生まれ、それが国内市場の2/3を占め、子ども服の街と呼ばれます。
チルドレンズ・ファッションウィークは、中国のブランド発信力をさらに高めるように昨年から始まった政府主催のイベントで、中国全土からブランド経営者やクリエイターが参加し、ファッションショーや講演など服飾の情報が共有、発信されます。
一方、12回目を迎える国際流行色大会は、色彩に関する情報交換プラットフォームとして立ち上げられ、今年はアジアファッションカラー連合が中心になりカラーデザインに特化した内容です。当日は世界の色彩デザイン専門家による講演と中国のデザイナー、研究者との交流が行われました。
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主賓の挨拶に続き、杨东奇氏(中国国際流行色研究主任)による2020年春夏国際カラートレンド報告が終わり、オンラインによる5名の招待講演が行われました。
1. 周 昕氏(大前 絵理/DICカラーデザイン):
「新型コロナを越えて」というデザイントレンドについて、コクーンタイプの個人空間家具、異分野の企業コラボ、自己を磨き楽しむ、ZOOMバーチャル背景他、多くの事例が報告されました。
2. 大澤かほる氏(日本流行色協会):
カラーデザインと時代の声というテーマで、Survivalをキイワードに生態系を象徴する色、ニューニュートラル・カラーの提案がされました。
3. Athina Dinda Ibrahim氏(デザイントレンド研究者、国際デザイントレンド研究所(IDTRI)インドネシア代表):
インドネシアの戦後デザイン史とマテリアルの動向について、時代による流れをまとめられました。
4. Francesca Valan氏(インダストリアル・カラーデザイナー、ミラノファッション研究所):
1950年代から現代までのカラーデザインについて、デザインイメージ、色、トーン、配色、装飾の変遷を10年単位で整理され、未来の予測までを加えた発表でした。製品を、服飾、小さな製品、車、建築材料に分け、それぞれの流行サイクル(順に1・2年、2-3年、5年、10-15年)も提示されました。
5. 名取和幸(日本色彩研究所):
色研が行ったカラーリサーチの中から、隅田川著名橋の色彩履歴、銀座街頭での女性服の定点調査、子どもの嗜好色に関する調査を取り上げ、色と時代との関わりを話しました。公共性の高い環境色、個人の所有物、心の中の色評価という3部構成でした。
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講演後のフロアとの時間では、熱のこもった質疑が繰り広げられました。コロナ禍の中、主要国で唯一のプラス成長を示す中国は活気を取り戻りつつあるようです。そして、コロナ中・後の新しいデザインの検討が模索されていることを感じました。本イベントは来年も中国で開催予定とのことです。
両イベントの様子 http://info.texnet.com.cn/detail-828670.html
〈名取 和幸〉
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