<研究2部報> NBS単位について
COLOR No.169掲載
色合わせにおいて、色の違いを単位化できれば色によらず一定の評価ができ、色の一致度を見るのに大変都合がよい。色管理ではCIELAB表色系による色差などがよく使用されているが、NBS単位がその先駆けであった。
NBS単位による色差 ΔENBSの定義は、アメリカ国家標準局(National Bureau of Standards)のD. B. Juddによる基礎と(1939年)、R. S. Hunterによる修正(1942年)によるもので、CIEXYZ表色系の三刺激値(Y1, x1, y1)と(Y2, x2, y2)の色差 ΔENBSは次の色差式で計算される。
ここで、
であり色度(αi, βi)は、Hunterのα-β色度図上に色度(xi, yi)を射影変換した結果として得られる(図1にx-y色度図(右)のMacAdam楕円とα-β色度図(左)上への射影変換の結果を示した)。
分割係数kについて表1に示した。色比較を行う際、離して並べる離間配置より、密着させた隣接配置の方が色の差が明瞭にわかる。このように、分割線の幅により、狭ければ大きく広ければ小さく色差が求まるようにkは設定されている。
次に光沢係数 fg について図2に示した。光沢係数fgは以下の式により計算され、係数Kはそれぞれ高光沢K=2.5、半光沢K=1、無光沢K=0である。
図2の横軸は対数をとった反射率Y%で観察される色の明暗を示し、縦軸の光沢係数fgは光沢が観察表面を覆い隠して色差の感覚へあたえる影響の強さを示しており、数値が1に近いほど色差に与える影響は小さくなる。明るい色や無光沢物では光沢の影響が小さいが、暗い高光沢物では光沢の影響により色差の感覚が鈍るといえる。
今回、NBS単位による色差 ΔENBSの定義式を見たが、色同士の並べ方や光沢の影響など観察する条件により色の差の見え方が変化するように設計されている。色の違いを見る場合、実際に使用される環境や施色する対象物の配置なども重要なのである。
図1 x-y色度図(右)とα-β色度図(左)におけるMacAdam楕円(倍率を10倍で示した)
表1 分割係数kの値
観測条件
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k
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非常に狭い分割線
狭い分割線(平均的)
明瞭な狭い分割線
広い分割線
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図2 試料面の光沢による影響(光沢係数fg)
参考文献
[1] 新編 色彩科学ハンドブック(第2版)(1998): pp. 264-266, 東京大学出版会.
[2] D. B. Judd & G. Wyszecki(1975): Color in Business, Science and Industry, 3rd Edition, John Wiley & Sons..
〈那須野 信行〉
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