<研究2部報> 修正マンセル表色系の最明色軌跡
COLOR No.167掲載
初期のマンセル色票集では色票間の等歩度性が不規則になる問題があり、1943年にアメリカ光学会の修正マンセル表色系によって、マンセル記号HV/Cに対応するCIEXYZ表色系の三刺激値(Y, x, y)の規定により修正がなされた。その際、明度毎にMacAdam limitと呼ばれる最明色軌跡までの外挿が、色票集に存在しない色度範囲にまで行われている。
最明色は、一定色度で最も高い明度を与える色で分光反射率ρ(λ)は0と1の値をとり、図1では立ち上がり波長λ1と立ち下り波長λ2によるType 1(凸型)とType 2(凹型)の分光反射率分布で示されている。例えば、マンセル明度V=5のとき三刺激値Yc=19.27%なので、Ycがこの値で一定になるようにλ1とλ2を変化させて得られた結果が図2である。図3にマンセル明度V=9(三刺激値Yc=76.69%)も示した。ここで、太い実線はType 1(凸型)、太い点線はType 2(凹型)の最明色軌跡を示しており、その周辺には〇印で示した色度点における最明色の分光反射率分布を示している。明度が高くなればType 1(凸型)のλ1とλ2の間隔は広くなり、Type 2(凹型)のλ2とλ1では狭くなるのがわかる。最明色軌跡は、高明度では色度範囲が狭く、低明度では細い実線で示されるスペクトル軌跡に近づいていく。
最明色軌跡により、照明下で観察される物体色の理論的限界が示されるので、現在でも効率的な計算方法について研究が行われ、照明開発や色彩画像などで役立っている。
|
|
図2 最明色軌跡上の色度点ごとの
分光反射率分布(V5)
|
図3 最明色軌跡上の色度点ごとの
分光反射率分布(V9)
|
参考文献
[1] 色彩の事典(1987): pp40-42, 朝倉書店
[2] G. Wyszecki & W. S. Stiles (1982):Color Science, 2nd Edition, John Wily & Sons.
〈那須野 信行〉
|
|
|