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<研究2部報> 比色用灰色マスク

COLOR No.163掲載

 目視による色比較の際に色見本の大きさや形を整えるために用いるのが比色用マスクである。比色用マスクはJIS Z 8723表面色の視感比較方法ではL*=50程度の無彩色を基本とし、色見本に応じて明るい灰色や黒を使うとされている。現にJIS標準色票では白・灰色・黒の3種のマスクが添付されているがそれ以外で入手するとどうなるのか。そこでJIS標準色票の灰色マスク(N7相当)を参考にいくつかの文房具店などを回り市販の灰色の紙を集めてみた。予想以上に集まった11種の灰色紙の内、AはJIS標準色票に添付のものである。分光反射率を見るとG、Kは比較的フラットであるのに対して他は460nm付近と580nm付近に反射率のわずかな盛り上がりと長波長側での急激な立ち上がりが共通する。つまり着色染料の組成に2タイプあることがうかがえる。本来無彩色は分光分布がフラット出ることが望ましいと思うがこの程度であれば電球色光下ではわずかに違いが出るものの白色光源下であれば問題ないだろう。また、マスクとしての使用感から見ると、無彩色といえども色みが強いもの、シボのような質感のあるもの、擦ると毛羽だったり光沢感が出たりなど不適と思われるものもあった。Fは擦ると強い光沢感が出たので摩耗性を×とした。色みの違いは黄み方向はあまり気にならないが赤み方向はやや気になる。△印を除けばその違いはわずかであり無彩色やオフニュートラル色の比色では気になるかもしれないが有彩色では影響は少ないだろう。また蛍光の確認もしたが特に強い蛍光を発するものはなかった。JIS標準色票の灰色マスクとの類似性からすればB、そうでなければD、H、J、Kなどといったところが選択肢と考えられる。

〈前川 太一・小林 信治〉


図1 灰色紙の分光反射率

表1 測色結果    測定器:C2000分光光度計 条件:2度視野C光源
試料
A
B
C
D
E
F
G
H
I
J
K
L*
69.6
70.4
56.2
64.6
73.2
69.2
66.5
71.0
66.3
63.9
67.0
a*
-1.7
-1.0
1.1
0.3
1.0
-3.4
-0.6
-0.4
0.5
-0.1
-0.8
b*
3.7
1.0
-1.6
-0.1
1.3
0.6
5.1
2.8
1.6
3.6
2.8

表2 主観評価結果
試料
A
B
C
D
E
F
G
H
I
J
K
色み
○GY
○GY
△P
△R
△G
△Y
◎Y
○R
○Y
◎Y
質感
摩耗性
X

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