＜研究1部報＞ 「男女児童が好きな色」2014年調査から

COLOR　No.163掲載

　当研究所では、全国の多くの小中学生を対象として、好きな色や配色に関する調査を2009年から数年置きに行っています。この度、2014年の年末に調査を実施しましたので、結果の一部の紹介と、感じたことを少しお書きしましょう。なお、本稿は小学生におけるイメージ嗜好色の内容に限定しています。右表に、2009年からの3回にわたる調査での選択上位色を示しました。

上位色の顔ぶれには大きな変化はみられない
　最初に調査を行ったのは2009年でした。男子小学生が最も好きな色は圧倒的に金色で、銀色がそれに続くという結果には驚かされました。しかし、その傾向にはその後変化がなく、男子は2年も5年も金銀青の順に好きなままです。また、小5になると黒の人気が高まります。一方、女子では水色が一番人気であり、ピンクは水色ほどは好まれないという傾向も依然続いています。

小2男子にとっての金色とは
　男子には金色のイメージを質問してみました。表に示すように、金色はキラキラ光る高価な色と受け取られています。男子が好きな色というのは、そうしたものやイメージを手に入れたいという、シンプルな欲求の反映であるといえそうです。

今の女子小学生が好きな色というのは
　本調査では、21色の中から好きな色を選ばせていますが、今回、女子に対しては、過去の結果を参考にして、女子が好みそうなピンク、水色、薄い紫の3色をピックアップし、それぞれへの好みも質問してみました。その結果、2年と5年での選択傾向はほとんど同じで、水色と薄い紫の人気がとても高く（共に約4割）、対するピンクは2割弱に留まりました。ピンクよりも、水色とうす紫が好きというのが、現代の女子小学生の色の好みです。
そこで、女子小学生にその選択理由も聞いてみました。ピンクでは「かわいい」「女の子っぽいから」に対して、水色とうすい紫では「落ち着く」「やさしい」「大人っぽい」という回答がみられます。小学校に入り、幼稚園までの子どもっぽいピンクからの卒業という意識が垣間見えます。また、女子小学生が好きな色は、自分を演出するため、主にファッションに活用するコーディネートカラーとして効果が高い色といえます。色をうまく使うことにより、人からこう見られたいという、他人の視点を意識した色彩嗜好といえそうです。
　女の子は成熟していますね。しかしながら、男子の中にも中々のコピーライターがいました。最後に、金色のイメージとして、2人の小2男子が書いた記述を抜き出して筆を置くことにいたしましょう。
　金色…「明るいけれどその光がぼくはくらく感じる」「すごくきれいでまるで、でんせつみたい」

〈名取 和幸〉