<研究2部報> マンセル明度V の計算による求めかた
COLOR No.161掲載
マンセル明度Vから三刺激値Yを計算により求めるには、以下に示す 式(1)の5次方程式を使えばよい。
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式(1)
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しかし、三刺激値Yからマンセル明度Vを計算により求めたいが、どうすればよいかとの問い合わせがあった。
5次方程式では代数的に解くことができないので、「JIS Z 8721 色の表示方法―三属性による表示」の「付表1 明度Vと三刺激値YC との関係」により、三刺激値Yに対応するマンセル明度Vを数表から読み取るのが通常である。近似的であれば式(2)が提案されている。「C. S. McCamy: "Munsell Value as Explicit Functions of CIE Luminance Factor", Color Res. Appl. 17(1992)」式(2)による近似解は、マンセル明度Vの最大誤差0.0035で大変小さい(図1)。「ASTM D 1535:Standard Practice for Specifying Color by the Munsell System」や、「JIS Z 8730 色の表示方法−物体の色差」の「付属書 B(参考)アダムス−ニッカーソンの色差式」にもこの式が示されている。
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式(2)
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ただし
A =2.49268, |
B =1.5614, |
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C =0.985, |
D =0.1073, |
E =3.084, |
F =7.54, |
G =0.0133, |
H =2.3, |
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J =0.0084, |
K =4.1, |
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M =0.0221, |
N =0.39, |
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P =0.0037, |
Q =0.44, |
S =1.28, |
T =0.53, |
U =0.87445, |
W =0.9967 |
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とする。
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図1.式(2)におけるマンセル明度の誤差
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図2.各式間の一致比較
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図2は各式のマンセル明度Vと三刺激値Yの関係を示す。式(2)の結果は、式(1)の結果の線上に重なって示されている。そして、若干上にずれた位置にある点線は「AY(1/3)−B」であり、式(2)の波線で示された主要項だけの結果である。CIE 1976 明度L* を1/10倍するとマンセル明度Vに近似するのが知られている。Yn=100として展開した式(3)は、式(2)の波線部とよく似ている。
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式(3)
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マンセル明度Vの最大誤差を計算すると、式(2)の波線部は0.1255、式(3)は0.1058なので小数点2桁の精度を有する式(2)の優位性が分かる。
〈那須野 信行〉
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