視覚障害者向けの誘導ブロックの輝度測定の依頼が増えていますので、当研究所で行っている測定方法を紹介いたします。
誘導ブロックは路面に黄色などの着色ブロックや点鋲などを施設して、視認性を高めることによって視覚障害者を安全に誘導しようとするものです。黄色という色彩はアスファルトなど路面との組み合わせでは視認性を高めるために有効であると考えられます。しかし、タイル歩道や商業施設の屋内コンコースなどでは意匠性の面から黄色が嫌われる傾向があります。最近では黄色に限定するのではなく、周囲の色と十分なコントラストを確保することで他色を容認する方向にあります。その場合、輝度コントラスト(輝度比)が1.5から2.0以上あることが望ましいといわれています。
輝度コントラストの求め方は何種類かありますが、誘導ブロックと周囲の輝度を測定してその比を求め、輝度コントラストとするのが単純な方法です。
輝度は観察者から見て対象がどのくらい明るく見えるかを示すのもで、対象の色や照明の強さによってて変化します。同一の照明の下で2つの対象物の輝度を測定して輝度比を求めることで輝度コントラストが評価できます。
誘導ブロックは道路に設置されるので、道路照明の評価に用いる輝度の測定方法を用いることも考えられますが、この方法は運転手の視点の高さから60mまたは160m前方の路面の輝度を測定するというものです。しかし、距離が長いため歩行者向け誘導ブロックの評価方法としては疑問が生じます。また、屋外での測定を余儀なくされるため、外光の除去が難しく安定した測定ができないといった欠点があります。
一方、測色方法として一般的な0度照明−45度受光という配置であれば、歩行者が1.5mほど前方を見る角度に相当するので違和感は少ないと考えられます。また、角度で規定するので、測定物の大きさに応じて測定距離を変えることも可能であり、もちろん室内でも測定可能となります。当研究所ではこの測定方法を採用しています。 (研究第2部 小林 信治)
図 配置図 |
写真1 測定例1 |
写真2 測定例2 |
写真3 試料例(カーペット、大理石2種、点鋲3種) |