アジアファッションカラー研究会は、活動の一環として、2004年夏に日韓中の大学生を対象とした二つの調査を行った。(計画分析は当研究所)。一つは色彩好悪や所有色に関するもので、結果は、既に(財)日本ファッション協会により頒布されている報告書(日韓中の色彩意識調査 Color Research on Japanese, Korean, Chinese College Students」)や当研究所の「色彩研究」などに報告されている。
もう一つの「色名想起」調査結果はまだ公刊されていないので、本稿で簡単な紹介をしたい。
調査は、知っている色名を思いついた順に10分以内にできるだけ多く書かせるというもの。使うのであれば外来の色名も含めて良い。回答者は東京、ソウル、北京、上海に在住の男女大学生で、有効回答数はトータル1,336名である。
想起された色名数の一人当たりの平均と標準偏差を求めると、日本38.9語(SD=12.0)、韓国36.7語(12.8)、中国27.5語(15.7)であるのだから、日韓に比べると、中国の学生は色名想起数が少なく、また想起数の個人差が大きい。
図1は、回答頻度の高い上位200の色名を、由来と文字から分類し、国別に割合を示した物である。日韓に比較すると想起される色名数が少ない中国の大学生は、ほとんどが自国の色名を想起するのに対し、日本の学生は数多くの色名を答えたもののカタカナ表示の外来色名が過半数を超えている。韓国でも外来色名が多いが、そのままアルファベットで書いたものが一割近くみられたことは特徴である。
【コラム−韓国における肌色】
韓国でも、昔は「肌色」という色名を使っていたけれど、2002年に差別表現ではないかとの指摘があり、「軟朱黄」と変更されたとのこと。
ところが難しすぎると小中学生からクレームがつき、2005年5月から韓国工業規格では「あんず色」となっている。(研究第1部 名取和幸)