今回から数回にわたり、CIEXYZ表色系を取り上げたいと思う。 色彩学初心者にとって、CIEXYZ表色系と言う物は得体の知れない怪物として毛嫌いされる傾向がある。その原因は数式アレルギーであろう。
そういった人は、是非、この記事を読んで解消して頂きたい。今回の目標は、数式のイメージを掴むことにある。 そして、後の連載で個別の解説を行う予定である。
本当の理解の為には、分光・三色性・等色などの事項を学ぶ必要があるが、まずは高みに上って外観を眺めてみる事にしよう。
通常、人間が物の表面に色を見る時、次の三つの特性を考える必要がある。
- 照明の特性
- 反射物体が光を反射する特性
- 光の刺激に対する人の反応特性
光はプリズムなどにより分解された光の系列となることが知られている。この分解された光の系列毎に扱う事で、それぞれの特性を表す事が出来る。
照明の特性は、分解された光の系列による図式化を行うと、右のように考えることが出来る。
図1に描かれた水槽は、光の系列毎に区切られており、そこに分解された光が注がれている事を示す。
次の段階として、照明が当たった時の光の反射について記述する必要がある。 これは、目で受け止められる光の特性であると言える。 反射物体は分解された光の成分毎に、一定の比率で反射を行う。
図2aにおいて手前に分割されて示された物が、反射された光であり、目で受け止められる光の特性に関係する。反射された光は、照明に対する比率として扱われるもので、奥行きを100%の反射の割合と考えて図は描かれている。
目で受け止める光としての反射の全体を掴みやすくする為に、新たな水槽への移し替えを行った。それが照明と反射率の積としての図2bである。
最後に、目に入った光の刺激に対する人の反応特性との関係である。基本的には、図2bを求めた時と同様な操作を行う。 図3において手前に分割されて示されたものが、光刺激に対する反応である。
人間の目は、光の色を捉える細胞が三つ存在する。
図3では、青い色に反応する細胞の反応特性を取り上げたが、緑・赤も同様の操作となる。求まった反応特性は、光の系列を足し合わせた物にまとめられ、三つの反応量として表現が為される。
以上が、簡単なCIEXYZ表色系の計算イメージである。
(研究第2部 那須野信行)