一般財団法人日本色彩研究所

<資料>最近の調査データより -言葉から想起する色名-

pen COLOR No.149掲載

ある言葉を提示し、その言葉から想起する色名を聴取した。
対象としたのは、デザイン系大学生159名である。なお、本調査は2007年に実施した。
言葉の種類は、表1に示した11種類であり、それぞれの言葉から想起する色名を、表2に示した13種類の中から1つのみを選択してもらった。

1.怒り2.幸福3.孤独4.家庭5.罪 6.夢
7.嫉妬8.癒し9.不安10.平静11.永遠
表1.言葉の種類
黄緑
青緑青紫赤紫
ピンクブラウンオリーブ
表2.色名の種類

結果

それぞれの特徴は以下の通り。

  1. 怒り:90%以上が赤を選択する。個人差が少ない。
  2. 幸福:40%が黄色を選択。その他ピンク・白・橙と続く。全体的に明度の高い色が選択される傾向がある。
  3. 孤独:グレイ・黒といった無彩色と、青・青紫・紫といった青から紫系にかけた色名が選択される。
  4. 家庭:橙が40%以上選択される。寒色系の色名への選択率は低い。
  5. 罪:黒にある程度の集中がみられる。有彩色の色名への選択は非常に少ない。黒とグレイを合わせると約80%となる。
  6. 夢:ある特定の色名に集中することはない。白・黄色・ピンク・青がそれぞれ20%程度の選択率を示す。
  7. 嫉妬:紫・赤紫が最も高く、次いで赤が選択される。この3色で70%以上を占める。
  8. 癒し:ナチュラル系の緑・黄緑・ピンク・オリーブが他の色名よりも高い選択率を示す。
  9. 不安:孤独や嫉妬で選択率の高い、青から赤紫系・グレイの割合が高い。ある特定の1色名に集中することはない。
  10. 平静:青が50%以上を占める。暖色系の色名への選択率は低い。
  11. 永遠:白が40%近くを占める。暖色系の色名への選択率は低い。
怒りから想起する色のグラフ
幸福から想起する色のグラフ
孤独から想起する色のグラフ
家庭から想起する色のグラフ
罪から想起する色のグラフ
夢から想起する色のグラフ
嫉妬から想起する色のグラフ
癒しから想起する色のグラフ
不安から想起する色のグラフ
平静から想起する色のグラフ
永遠から想起する色のグラフ

〈研究第1部 大内 啓子〉