一般財団法人日本色彩研究所

<色彩データ>最新データ紹介 -言葉から想起する色-

pen COLOR No.161掲載

 ある言葉に対して、どのような色を想起するのか。このテーマに関する研究は、古くから行われている。これまでも本誌においてデザイン系大学生を対象にした同調査結果を紹介してきたが、今回は心理学を専攻する大学生25名を対象に行った結果を示す。

調査日2014年2月
対象者心理学専攻大学生26名
対象語「怒り」「嫉妬」「罪」「孤独」「不安」「平成」「永遠」「幸福」
「家庭」「夢」
色 彩赤、ピンク、橙、黄色、黄緑、緑、青、紫、白、灰色、黒
調査方法スクリーンに上記11種の色彩を同時に投影し、各言葉に該当する色を1色選択する。なお、重複回答は可とした。

〈結果〉

「怒り」赤を選択した者は、92.3%にも及ぶ。
「幸福」ピンクに約38%、黄色に約35%の選択率。青、紫、赤、黒を選択した者はない。
「孤独」グレイに約38%、黒に約27%、青と白に約15%と続く。有彩色では青と紫以外の選択はない。
 「罪」黒に約65%、グレイに約20%の選択率。「孤独」と同様に中明度以下の無彩色が多く選択される。
 「夢」黄色、白、ピンクにそれぞれ20%以上の選択率。「幸福」と近い色が選択される。
「嫉妬」赤が40%以上、紫に25%以上の選択率。紫が20%以上を示すのは10個の言葉の内「嫉妬」のみ。
「不安」グレイに50%以上、青に25%以上の選択率。黒を選択した者はいない。
「平成」青に50%以上、緑に20%以上の選択率。
「永遠」白に50%の選択率。橙、ピンク、黄緑を選択した者はいない。
「家庭」橙に65%の選択率。黒、グレイ、紫、青、赤を選択した者はいない。

図1に選択率を示した帯グラフと、図2にコレスポンデンス分析を行った散布図を示した。

図1 言葉から想起した色の選択率
図2 コレスポンデンス分析結果の散布図

「孤独」と「不安」、「幸福」と「家庭」はそれぞれ近い位置にあることがわかる。

〈大内 啓子〉