<コラム>それは野鳥の為ならず
COLOR No.166掲載
晩秋から冬にかけて、我家の庭にも野鳥がしばしば餌を求めてやって来ます。
野鳥たちにとって、冬場は餌が不足しがちになるので、その弱みに付け込んで餌付けをし、庭に呼び寄せて愛でるには良い季節とも言えます。
餌付けをするために、シードフィーダー(餌台・バードフィーダー)を設置することがありますが、庭に設置するとしたら、気に入った色を選びますよね。でも、その色で本当に野鳥は来てくれますか?
英国ハル大学のL. Rothery et al. (2017)は野鳥と潜在的購入者のシードフィーダーの色に対する好みを調査しました。
調査に使用したシードフィーダーは直径9?、高さ27?程の円筒状で、ホームセンター等で日本円にして千数百円で販売されています。そのシードフィーダーの笠と給餌口部分の色をRed・Yellow・ Green・ Blue・ Purple・ White・Silver・ Blackの8色にペイントして、公園等にFig.1のようにして設置しました。そして、各色のシードフィーダーに訪れる野鳥をカウントしました。また、ホームセンターの訪れた潜在的購入者には、どの色のシードフィーダーを購入したいか選んでもらいました。
アオガラ、シジュウカラ、ヒガラ、スズメ、コマドリ等種類により異なりますが、全体平均ではSilverとGreenのシードフィーダーが好まれ、RedとYellowは好まれませんでした(Fig.2)。
一方、シードフィーダーを買う可能性のある潜在的購入者の好みはGreen、Yellow、Red、Blueという結果になりました(Fig.3)。人間には好まれるRedとYellowですが、穀物や種子を餌とする野鳥にはダメでした。
これらの結果から、L. Rothery et al. (2017)は、市場性と野鳥に対する魅力を同時に満たしているGreenのシードフィーダーを薦めています。
実際、Googleでイギリス等のシードフィーダーの画像を検索すると様々な色のシーダーがありますが、Greenが多いようです。やはり、庭の木々の緑に調和し、あまり目立ちすぎないからでしょうか。
結果は何とも月並みな感じもしますが、今回驚いたのは、イギリスの庭のある家の約60%、推定1,260万世帯中740万世帯がシードフィーダーを設置し、野鳥の餌業界は年間2億1,000万ポンド(約290億円)も稼ぐということでした。
Reference
1. Luke Rothery, Graham W. Scott, Lesley J. Morrell. Colour preferences of UK garden birds at supplementary seed feeders, PLoS One. 2017; 12(2): e0172422. Published online 2017 Feb 17. doi: 10.1371/journal.pone.0172422
〈江森 敏夫〉