一般財団法人日本色彩研究所

<巻頭言>光・色を測る

pen COLOR No.176掲載

コニカミノルタ株式会社 センシング事業本部 LD&CA 事業部 LC 企画部
一般財団法人日本色彩研究所評議員
山野井勇太

弊社コニカミノルタ㈱は、長年、まず人々の「みたい」が初めにあり、それらに対してテクノロジーを培い、事業を育成しています。デジタルワークプレイス事業のカラー複合機・プロフェッショナルプリント事業のデジタル印刷システム・ヘルスケア事業の画像診断システムなどに加えて、筆者の所属するインダストリー事業のセンシング分野は、光と色とイメージングのQualityを大切にするお客様に対して、すばらしいデザイン、あるいは感動を与える画像の実現を支えるソリューションとして、主に、光・色を定量的に測定する輝度計・照度計・分光測色計などを提供しており、光・色に深く関連する事業を営んでいます。

LD&CA事業部は、Light and Display & Color and Appearance事業という意味で、LCは、LightとColorの頭2文字です。センシング事業本部は、ディスプレイのような発光体をはかる光源色計測分野、光をあててモノの色や見栄えをはかる物体色分野に加えて、自動車やデザイン性の高い製品の外装品質など、品位にかかわるものや、傷や汚れが機能にかかわる精密部品の検査に利用される外観計測分野や、ハイパースペクトラルイメージングの領域への展開も進めています。その中の光源色計測分野をLight and Display、物体色分野をColor and Appearanceで表現し、筆者の担当は、光源色・物体色計測分野の企画となります。

光源色・物体色計測分野での企画において大切にしていることの一つは、測色値の互換性です。光源色分野では分光放射輝度計CS-2000/A、物体色分野では分光測色計CM-3700Aをフラッグシップモデルとして置き、さらに、機能を絞ったモデルやより可搬性の良いモデルを展開しています。新しい機種を展開する際には、これまでに測定器で蓄積した測定データとの連続性を意識し、何かしら機能や利便性を高めた新機種においても、同様な測定値が出力されることを互換性と呼びます。

Basic Color System 1(1965)より
分光放射輝度計CS-3000(2023年7月発売開始)

今回、光源色分野では、新たに分光放射輝度計CS-3000をリリース。高品位ディスプレイを始めとする各種発光デバイスの品質確保・管理において、研究開発や製造現場を問わず、優れた測定性能で高い評価を得ているCS-2000Aの後継機種であり、CS-2000シリーズとのデータ互換性を保ちながら、低輝度から高輝度まで測定レンジの拡大と、測定の高速化・自動化を実現しています。このように、光・色を測定する測定器メーカーとして、お客様の測定値を末永くお守りする、支えるという気持ちで企画・開発を進めています。
私自身は、「分光測色法によるスコリアの色変化測定と加熱再現実験(火山2004年49(6), p.317-331)」を書いて以来、色に関わる研究・業務に携わっています。色を定量的に再現性良く測定して数値化する手段があるにもかかわらず、なぜ“赤”や“黒”と記載するのだろうか?という問題意識から、研究を始めました。本稿を通じて、光・色を測ってみる、ということに少しでも興味を提供できたら幸いです。