一般財団法人日本色彩研究所

<測色資料>洋酒の色

pen COLOR No.164掲載

前回は市販の緑茶飲料を取り上げたが、今回は著名な洋酒を測色した。試料としてはウィスキー5点、ブランデー2点、ブランデーベースのカクテルといわれる1点の8点。測定は10mmのセルに入れて精製水基準で分光透過率を測定した。測色値は2°視野D65光源で求めた。ウィスキーやブランデーは蒸留酒であるから元々はほぼ無色透明のはずである。しかし樽に入れ熟成することで琥珀色になり、熟成の期間や樽の素材により色の付き具合が変わるとされる。分光透過率分布(図1)を見るとカーブの基本的な特徴は同じで濃淡のみが異なることから、品目による特異な成分は見られない。ブランデーの透過率が低く、ウィスキーが高い傾向が見える。個々の熟成年数は不明だがブランデー2種が熟成の期間が長いと思われる。a*b*図(図2)を見るとウィスキー4種の彩度が低くブランデー2種の彩度が高くかつやや赤みが強いことがわかる。さらにL*C*図(図3)、L*H°図(図4)と合わせるとそれらの軌跡は一線上に連なっており、同じ発色構造を持っていることがうかがえる。ウィスキーでも熟成が進むと赤みを帯びるのか、是非ウィスキーの30年ものを賞味する機会を作りたい。

〈小林 信治〉

図1 分光透過率分布
図2 a* – b*
図3 L* – C*
図4 L* – H°図