一般財団法人日本色彩研究所

<測色資料>かき氷シロップ

pen COLOR No.175掲載

巷ではカラフルドリンクが流行っているという。SNS流行のせいなのか、写真映えする色鮮やかなものがマスコミに登場する機会が目だつ。夏休みになると小学生の自由研究に悩まされる親御さんも多いと思うが、色をテーマにした自由研究も多い。最近は自由研究のレポートもカラー写真や色文字を使い、カラープリンタで印刷して提出するという。カラフルがあふれる夏である。そんな夏に欠かせない「かき氷シロップ」を取り上げる。かき氷シロップは実に鮮やかな色である。混色実験をしたり、カラフルドリンクを作ったりと一石三丁といったところ。 かき氷シロップもさまざまな味というか色があり、果汁入りなどもあるが、濁りのない方が測色しやすいので、ここは定番のいちご(赤)、レモン(黄)、メロン(緑)、ブルー(青)とした。それぞれの着色料は、赤は紫いも色素と紫コーン色素、黄は黄色4号、緑は黄色4号と青色1号、青は青色1号と赤色102号と記載されている。測定は原液、50%希釈、25%希釈の3種とした。

基本的には食用染料による混色であるが、いかにもと思わせる鮮やかな色である。分光曲線(図1)を見ると赤を除けば典型的な透過原色と混色の様相に見える(図2)。

表1 かき氷シロップのL*a*b* 値
試料 L* a* b*
ブルー25% 85.58 -31.79 -20.74
ブルー50% 76.34 -41.06 -32.15
ブルー100% 65.17 -40.15 -42.82
メロン25% 89.66 -47.9 51.9
メロン50% 81.56 -72.67 73.92
メロン100% 70.43 -91.37 79.52
レモン25% 97.08 -20.76 104.34
レモン50% 95.91 -16.85 119.5
レモン100% 94.2 -10.45 127.38 
いちご25% 87.34 27.16 -4.09
いちご50% 75.44 51.57 -4.37
いちご100% 59.64 74.46 8.99
写真1 かき氷シロップ4種
図2 かき氷シロップのL*a*b* 色度図
写真2 かき氷シロップ〔いちご〕
上から25% 希釈液、50% 希釈液、原液

今回はおまけに、話題のカラフルドリンク「バタフライピーティー」を追加した。別名「チョウマメ(蝶豆)」といい、乾燥した花を煮出すとアントシアニンによる鮮やかな青色の煮汁「バタフライピーティー」を作り出すことができる。およそ90℃のお湯500mlに1gの茶葉パックに入れ、1、2、3、5、7、10分後にそれぞれ測定をしたが、今回の条件では5分以降はほとんど色の変化はなかった(図3、4)。「バタフライピーティー」はレモン汁を入れると紫色に変色するという演出ができる。10分のティー約30mlに濃縮還元のレモン汁を1、2、3、10滴と滴下したが、わずか1滴で紫色に変色した。このことから、濃い「バタフライピーティー」1カップにレモン汁1~2滴が適量と思われる。
 測定は日本電色製SD 7000で光路10㎜のセルで水を基準として透過率を測定し、2度視野、D65光源でCIELABを計算した(表1、2)。

写真3 バタフライピーティー抽出液
右上から時計回りに:1分、2分、3分、5分、7分、10分抽出
図3 バタフライピーティー(+ レモン汁)の分光分布
表2 バタフライピーティー(+レモン汁)のL*a*b* 値
試料 L* a* b*
1M 87.48 -11.39 -5.93
2M 69.29 -15.98 -16.89
3M 64.93 -15.74 -19.51
5M 63.16 -13.98 -21.05
7M 63.19 -14.37 -20.9
10M 62.48 -12.97 -21.68
10M+L1 59.81 7.19 -27.85
10M+L2 60.3 10.57 -26.95
10M+L3 60.81 12.72 -24.39
10M+L10 61.65 16.51 -21.59
図4 バタフライピーティー(+ レモン汁)のL*a*b*色度図

〈小林 信治〉