一般財団法人日本色彩研究所

<測色資料>インクジェットプリンター

pen COLOR No.169掲載

インクジェットプリンターは家庭用、業務用を問わず極めて普及している。特に家庭用のインクジェットプリンターの多くはフルカラーに対応しており、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の原色インクを基本とし色域拡大や階調性の両立を元に調製されているが階調性の向上のためマゼンタやシアンやブラックの淡色インク、また色域拡大のためレッド(R)やオレンジ(O)などの原色インクが追加されることがある。今回は家庭用インクジェットプリンターの印刷色を測定してみた。

使用したプリンターは写真画像の印刷を主眼としたY・M・C・Bkに淡C・淡M・グレー (Gy)・ライトグレー(淡Gy)を加えた8色インク型のプリンターである。

印刷画像はRGB値を指定したカラーチャート画像を作成し、写真用紙に印刷した。RGB値と印刷色の関係はCMS(カラーマネージメント)やプリンタドライバーの設定で変化するのでCMS・ドライバーによる色補正はオフとした。

分光反射率の測定は日本電色製色彩計SD-7000型を用いてUVカット、SCEモードで行った。分光反射率曲線をみると、赤や黄やイエローは典型的な曲線を示している。赤はイエローとマゼンタの、緑はイエローとシアンの合成であることがよくわかる。全体的には減法混色の典型的な特徴を示している。しかしながら、黒、青、緑、シアンの長波長域の反射率が高くなっている。このため特にシアンはRGB値としては高彩度色を思わせるが印刷色はかなり低彩度となっている。RGB値で色指定を行っているので原理的にはR+G=Y、G+B=C、B+R=MとなるがこれがインクのY、M、Cに直結するとは限らないことを承知しておかなければならない。今回は純色しか扱っていないが、中間色では多インク化によって濃淡インクの切り替えなど発生しインク配合が複雑化すると考えられる。機会を見て報告したい。

R値G値B値
255255255
25500
イエロー2552550
02550
シアン0255255
00255
マゼンタ2550255
000
表1 印刷したRGB
図1 分光反射率

〈小林 信治〉