一般財団法人日本色彩研究所

<測色資料>墨 (書画)

pen COLOR No.89掲載

黒色は古くから書画に用いられてきた。現在に至っても、文字を書くには黒色がそのほとんどを占めている。古来は、その多くがすすや墨を固めたり、水や油に溶いた物であった。また濃淡がつけやすく画材としての表現力に優れていたため、多く利用された。 特に日本や中国では、水墨によって多くのすばらしい書画が残された。欧米では、動物の骨や象牙を焼いて黒色顔料としたそうである。
現代では、黒色も多くの材料で作ることができる。しかし、それらも同じ色名「黒」で呼ばれはするものの、かなりの違いをもっている。文具店で見かける画材を測色してみた。 

測定は画用紙に、液状のものは薄めずに、固形のものは下地が見えなくなるまで各色材を厚めに塗布した。墨汁,絵の具は明るく黄味に彩度が高い。パステルとクレヨンは色味がない。色紙に次いでパステルが暗い。パステルは光沢がなく見た目にもかなり黒いが、それでもマンセル明度では1.3を示す。分光カーブは、いずれも10%以下の低いところに重なっている。

測定の結果

A:墨汁2.3Y 2.7/0.4
B:絵の具2.8Y 2.4/0.3
C:ポスターカラー7.0PB 1.4/0.4
D:パステルN1.3
E:くれよんN2.4
F: 油性マジック1.3RP 2.8/0.2
G:色研製色紙N0.3
H:印刷色見本5.8YR 2.3/0.2
マンセル値