<測色資料>一足早い初夏の花 -ガーベラ-
COLOR No.119掲載
桜が満開である。暖かな日差しに誘われて満開の桜に囲まれた公園にででみると、雪柳や小手毬の白い花が咲いている。沈丁花の白い花も緑の葉の間に開いて、桜の薄いピンクとともに公園が白に染まり、その中に桃や梅の赤がまぶしく感じられる。 源平や紅白なとど親しまれた日本の色をそこに見ることができる。
一方、近所の玄関先やベランダにはチューリップ、アネモネ、ポピーなどの春の草花が花開きはじめ、色どりどりの花が出番を待ち、まだ花冷えの季節であるのに花屋ではマーガレットやガーベラなどの初夏や夏の花が並べられている。花に限らず温室栽培の定着で、店頭に並べられものに季節感が薄くなっていることに寂しさも感じられるが、店頭に置かれたピンクや黄色など様々な色のガーベラを見ていると、なんとなく温もりを感じ、手にとってみたくなる。栽培者に乾杯!である。
さて、ガーベラは細弁の菊状花で、昔から切り花として重宝されたドイツ人の名に由来するキク科の宿根草である。在来種は細弁ですっきりしたスタイルが好まれているが、近年、オランダで改良された巨大輪種が花色が豊富のこともあり目にすることが多い。南アフリカ産の熱帯植物であるため、10度以上の気温であれば一年中緑の葉を付け、花も咲き続ける性質を持っている。ただし、気温が低くなると葉が枯れて休眠するため花の時期は6月頃の初夏から10月頃の晩秋までである。
今回は、店先に並べられた色違いのガーベラを集めて測定した例を紹介する。測定の方法はこれまでの資料と同様に、無蛍光台紙の上にガーベラの細弁を重ねて並べ、台紙からの再反射光による影響を除いた。幼い頃のガーベラの花色の記憶には「4」のような朱色や真紅が強いが、春らしさを感じるうすい黄色や赤紫など様々な花色が見られる。分光分布を比較すると白とうすい黄色及びピンク系同士はそれぞれ近似した吸収特性をしていることから同じ色素によって発色し、色素量の違いによって花色が異なっていることが推定される。
測定の結果
1 | 6.6Y 9.3/ 1.8 |
2 | 8.8R 8.8/ 2.8 |
3 | 6.4R 7.4/ 6.1 |
4 | 8.3R 4.6/14.7 |
5 | 7.3Y 9.0/ 6.8 |
6 | 1.8Y 8.0/13.3 |
7 | 7.9RP 3.8/13.3 |