一般財団法人日本色彩研究所

<測色資料>醸造酢

pen COLOR No.176掲載

醸造酢 酢は料理の調味料として、あるいは健康飲料として用いられ我々の食生活に欠かすことができないものです。酢酸を3~5%程度含む酸味のある調味料ですが各種のアミノ酸を多く含むため健康的とされています。原料は穀物や果実を主とし、原料からアルコールを作りその後酢酸菌で発酵させて酢酸を作ると酢ができます。

酢酸などを水で薄め調味料等を加えた合成酢もありますが食用の多くは上記の方法で作った醸造酢に分類され、コメから作った米酢や玄米から作った黒酢、ブドウから作ったワインビネガーやバルサミコ酢など果実から作った果実酢があります。

今回の試料は、A:米酢、B:黒酢、C:ワインビネガー、D:バルサミコ酢、E:リンゴ酢を用意しました。

A:米酢、原料=米、酸度=4.5%
B:黒酢、原料=玄米、酸度=4.2%
C:ワインビネガー、原料=ブドウ果汁・ アルコール、酸度=5.0%
D:バルサミコ酢、原料=ワインビネガー・ ブドウ果汁、酸度=6.0%
E:リンゴ酢、原料=リンゴ果汁、酸度=4.5%



測定は透過率測定として、いつも通り日本電色製SD-7000分光色彩計を用いて10mm長の透過セルで精製水を基準とし、分光透過率を測定し、2度視野、D65光源でCIELABを計算しました(表1)。

記号名称L*a*b*
A米酢95.19-2.3919.69
B黒酢9.2731.1414.05
Cワインビネガー97.64-1.289.27
Dバルサミコ酢28.4842.8845.47
Eリンゴ酢96.96-3.0617.76
表1 酢5種の測定値(L*a*b*)

分光曲線(図1)を見ると典型的な茶褐色の透過透過曲線の形状を示しました。ただ、リンゴ酢は450nm付近に凹みが現れました。リンゴ果汁の特徴かもしれません。測色値から見ると淡黄色から褐色であり、アルコール発酵系の液体の色は原材料の色と熟成の程度で濃淡が変わることが多いですが、酢も同様ように思えます(図2)。

図1 酢5種の分光曲線
図2 酢5種の色度(a*b*)
図3 測定した5種の酢

〈小林 信治〉