一般財団法人日本色彩研究所

<測色資料>草木染めの色目

pen COLOR No.125掲載

「日本の色に、逢いにいく」というキャッチコピーの背景に、臙脂、唐紅、洗朱、萌葱と色とりどりの紅葉が画かれたポスターが貼られ、ソフト・温和・静寂をコンセプトとした流行色が語られる。
「癒し」を探す現代人の一面を垣間見る思いがする。

最近、旅行先でお土産を探すと、民芸品特に草木染めによるハンカチをはじめバックやブラウスなどが目に付くようになった気がする。日本人に親しまれている草木染めの代表は藍染めであろうか。
蓼科の藍で染めた麻は、甕覗、浅黄、縹というようにさまざまに染め上がっていく。四~五世紀ごろに中国から伝えられ、阿波の藍が有名である。往時を偲び、徳島県には吉野川流域に藍色回廊なる観光ゾーンがある。

藍染めでも藍だけでなく黄檗をかけたりして染められるので、草木染めの色は染色法によってさまざまに変化する。染め上がったものを単に測色しても面白くないのだが、染色法の判った染色布を入手するのが難しいので、科学染料でないことだけが判っている綿ハンカチを測定してみた。紅花や蘇芳は薄染めで、色名の代表的なマンセル値とは異なった結果になっている。

測定の結果

草木染めの分光分布図
紅花7.6RP 7.1/7.4
蘇芳6.4R 7.4/3.4
山梔子9.9YR 7.5/4.7
濃藍6.0PB 1.8/4.0
薄藍3.1PB 4.1/5.6
マンセル値