<測色資料>花色 -ハナショウブ・キショウブ-
COLOR No.96掲載
梅雨期に入り、季節の花、紫陽花とハナショウブが色鮮やかに美しく咲き誇り、各地から花便りが届く頃となりました。前号に引き続き花色の測色データをご紹介いたします。
キショウブ今回の花はハナショウブとキショウブです。
ハナショウブはアヤメ科アヤメ属の植物で北半球に広く分布し、その仲間は約200種、また園芸品種は1,000種ほどあるといわれています。
品種群は江戸、肥後、伊勢、外国系ハナショウブの4種に区別され、その花色は、紫、青紫、赤紫、しろ、ピンク、絞り、吹きかけ、覆輪、2色花、白地に紅紫筋入り…など様々な色彩が見られます。どれもみな、優美で純日本的な趣が深く感じられます。
慣用色名の中に『菖蒲色』という色がありますが、この色は紫色を示します。今回は鮮やかな色調を持つ紫と赤紫、白のハナショウブと黄色い花を咲かせるキショウブ、また、参考として色票化された『菖蒲色』についても測定を行いました。花びらは裏透けの影響を考慮し、複数枚重ねて測定しています。その結果から、色票の『菖蒲色』と紫の花色がやや異なる値を示していますが、これは花びらを重ねていることによって、実際に見る花よりやや濃い色になるためと考えられます。またベンジン、アンモニア、塩酸等の薬品を用いて色素判定のテストを行ったところ、紫系はアントシアン類、白・黄はフラボン類であるということが推定されました。に見える色と、橙のように複数の色素が混じっているように見える色とがあることが伺える。
測定の結果
ハナショウブ(紫) | 5.4P 1.8/7.8 |
ハナショウブ(赤紫) | 0.3RP 2.3/8.2 |
ハナショウブ(白) | 5.4Y 9.3/1.2 |
キショウブ(黄) | 1.8Y 7.7/15.8 |
色票(菖蒲色) | 3.2P 4.0/10.4 |