一般財団法人日本色彩研究所

<測色資料>朱肉

pen COLOR No.70掲載

朱肉の写真

朱肉の色は、朱色(バーミリオン)とよばれ、古くは天然に産出する朱砂(硫化水銀を含んだ鉱物)の色であった。人工の朱色は、銀朱(硫化水銀)、カドミ赤(3CdS・2CdSe)などの無機化合物が用いられる。 朱肉は、これらの顔料を粘性剤などに混ぜ、印肉に含ませたものである。
顔料の種類や配合比で色が異なるが、朱砂のような赤黒いものがよいとされている。近年は有機顔料を用いたものも増えている。関係JISでは以下のように定められている。

S6020 印肉 7.5R5/14
△H:±2.5 △V:±1.0 △C:±2.0
S6016 スタンプ台 (しゅいろ) 8R5.5/13
△H:±1.0 △V:±0.5 △C:±2.0>
Z8102 物体色の色名(慣用色名:朱色)6R5.5/14
  • 今回測定したサンプル
    A:印肉 B:印肉 C:色研製色紙(S6020相当) D:スタンプ台
  • 測定サンプル作成
    図画用紙(160㎏/連)を印肉あるいはスタンプ台に直接押しつけて、測定部が均一になるまで繰り返した。この方法は、JISS6020,S6016に規定された方法と異なるが測定部位を均一にしやすく、転写率が多く下地の影響を受けにくい。

測定の結果

朱肉の色の分光分布図
分光分布図
A:印肉7.9R 4.9/13.6
B:印肉8.0R 5.0/13.4
C:色研製色紙(S6020相当) 7.6R 5.0/13.9
D:スタンプ台7.8R 5.3/14.8
マンセル値

サンプルA,Bはほとんど差異がなかった。また、サンプルCともよく一致している。サンプルDは、A,Bに比べ、明るくあざやかである。