一般財団法人日本色彩研究所

<色彩データ>カラーイメージ「パープルレンジ」

pen COLOR No.165掲載

1998年に発行した「カラーレンジマニュアル100」は、一般成人を対象として行ったカラーイメージ調査をまとめたものである。現在「カラーレンジマニュアル100」と同様の調査手法で、対象者を高齢者・若年者にして、新たに調査を実施しているところである。

今回紹介するのは、そのうちの一部であり、パープルレンジに含まれるdull purple (6P4/6)、deep purple (6P2.5/8.0)、bright purple(6P6.5/7)、strong purple (6P3.5/10)の4色である。
2015年の高齢社会白書(内閣府)によると、日本の総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は26.7%とある。高齢者が抱いているカラーイメージは若年者とどのような違いがあるのだろうか?

調査方法

グレイ台紙(N7.0)に該当色紙を貼り付けたものを調査刺激とした。色紙サイズは、おおよそ名刺大である。作成した刺激を調査協力者に提示し、17個からなる形容詞対に対して、5段階評価をしてもらった。

調査対象者

strong purple:高齢者20名(平均70.3才)・若年者24名(平均21.0才)、deep purple:高齢者25名(平均71.6才)・若年者30名(平均22.0才)、bright purple:高齢者20名(平均68.0才)・若年者20名(平均22.2才)、dull purple:高齢者23名(平均68.4才)・若年者21名(平均21.7才)

特徴

  • dull purpleは、年齢層による違いが顕著ではない。17の尺度値において0.5以上の差がみられるのは、「明るい―暗い」「汚い―きれいな」「濁った―澄んだ」であり、高齢者では若年者よりも明るいく、きれいで澄んだ印象を持つ傾向がある。
  • deep purpleでは年齢層による違いが顕著である。尺度値において1以上の差がみられるのは「明るい―暗い」「汚い―きれいな」「濁った―澄んだ」「陽気―陰気」「柔らかい―硬い」「あっさり―くどい」「冷たい―暖かい」「好き―嫌い」「女性的―男性的」の9つにも及ぶ。deep purpleは、高齢者と若年者ともに、「深く、重く、強い、大人」という印象を抱くけれども(尺度値1.0以上)、若年者はそれに加えて「暗く、くどい」な印象を持ち、高齢者は「きれい、好き」という印象を抱く傾向がある。
図1 dull purple
図2 deep purple
図3 bright purple
図4 strong purple

〈大内 啓子〉