<研究1部報>最近の監修関連業務のご紹介
COLOR No.166掲載
日本色彩研究所では、企業や行政からの委託研究、自主調査の他、色に関わる様々な監修等の事業も行っています(Color No.159に関連記事有り)。それでは、最近手掛けた例をいくつかご紹介しましょう。
色名関連
日本の色CALENDER 2017(博報財団)
月ごとに関わりのある色名とその色、そしてその解説文から構成された卓上カレンダーです。色名の解説・監修を担当しました。子どもたちの、特に言葉によるコミュニケーションを通しての教育助成を行う財団だけに、解説文には気をつけました。
芸術の美を彩る西洋の伝統色(ビジュアルだいわ文庫)
前作の「暮らしの中にある日本の伝統色」に続く第2弾。186の西洋の伝統色について、各頁に一つずつ、色名の由来などの解説と、関わりのある写真から構成されたビジュアル色名事典です。前作に続き、色名の色の配合量指導を担当しました。
ユニバーサルデザイン
水性顔料マーカー「プロッキー」(三菱鉛筆)
ピンクと水色は色弱者に区別がつきにくい組合せの一つ。三菱鉛筆様とタイアップして、多くの人から水色と区別のつきやすいピンクのインクを2010年に開発販売しました。この度インクの成分が新しくなるに当たり、ユニバーサル対応となっているかを測色と当事者評価から認証しました。
http://www.mpuni.co.jp/products/felt_tip_pens/water_based/sign_pen/prockey.html
色彩心理・デザイン関連
コントラクトカーテン「face」カタログ(スミノエ)
医療、福祉施設用カーテンのカタログです。空間カラーイメージごとに商品群を分類し、まとめています。昨年の製品リニューアル版においても製品を確認し、それが反映した最新カタログ(Vol.19)が昨年12/1に発行されました。
http://online.ibnewsnet.com/news/file_n/cn2016/cn161119-01.html
色と高齢者に関する実態調査(色彩検定協会)
多くの高齢者(60~80代)と30代の男女を対象に、日常生活での色の見えづらさや見間違い、言葉からイメージされる色などに関するインターネット調査です。調査アドバイスと結果へのコメントを行い、結果は今年3/9にプレス発表されました。
https://www.atpress.ne.jp/news/123681
例えば、色の見えづらさや見間違いに関する具体的なエピソードについては、自動車の運転や交通関連に関するものが最も多くを占めていましたが、その他の日常生活の様々な場面で、そうしたエピソードが語られていました。危険回避のためのユニバーサルデザインや本人への自覚促しなどが必要でしょう。なお、イメージと色との関連についての年代差の結果は面白かったのですが、残念ながらプレス発表ではあまり触れられていません。
以上のように、色彩研究所による監修は,委託を受け、私共が手がけた色彩設計物や空間、調査などに対して行うことは勿論ですが、ここの事例にも含まれるような、ご相談者による選定色やご自身で書かれた色名解説文などに対しても行います.是非ご相談ください。
〈名取 和幸〉