一般財団法人日本色彩研究所

青森県 環境色彩研修会

pen COLOR No.140掲載

青森県で自治体職員対象の「環境色彩研修会」が開催された。
青森県は県と県内市町村の景観に関わる担当職員45名を集めて、色彩に関する専門的な知識の習得や、色彩感覚の訓練、環境色彩計画についての概論などを交えた研修会を10月9日・10日の2日間にわたって県庁で開催した。

景観は文化的な問題として考える青森県は、環境生活部、文化・スポーツ振興課景観グループが担当している。今回の研修も同グループが中心となって実施された。
相談開始は1年前で、カリキュラムの内容・構成や用いる資料・用具などについて打ち合わせを繰り返した。最終的に会期2日間、延べ11時間の研修会となった。
その間、景観グループの担当者(佐々木正昭氏)が当研究所の「第16期色彩指導者養成講座」を受講し、色彩指導者認定者となり、今回の研修会では講師を助け、実習の指導にも当っている。

(東奥日報掲載記事)

受講者の内訳は、青森市、弘前市などの6市からと、9町、6村からの合わせて22名と、県の環境政策課、自然保護課をはじめ、観光、農林水産、道路、建築、港湾など幅広い課や県土整備事務所、公共建築物色彩検討委員会委員などを含めた20名、合わせて45名であった。

眼に映るものにはすべて色彩があり、受講者は、県民の暮らしの様々なシーンで、行政の立場から色彩の問題とであっていることが、所属、専門分野の幅の広さからも判る。
地域に根ざした良質で魅力ある景観づくり、生活環境整備にとって、「色使い」の知識と技能が大変重要であることは認識されていても、今までそれを習得する専門的な学習の機会には恵まれていなかったと思われる。
今回の研修は、景観行政を推進する上で、人材育成の必要性、特に内容を景観に影響力が大きく、市民から良否の評価を受けることの多い「色彩」問題に集中して研修を始めた先駆的試みとして、日本の景観行政の新しい道を開くものと考えられる。

2日間連続11時間の講義を努めたが、男女色々な年齢層、専門の受講者が皆熱心に最後まで受講していた姿には感動した。人材育成こそ景観づくりに不可欠と、環境色彩研修を始めた青森県のこの事業が、今後どのようなかたちで具体的な成果をあげていくか注目される。
また、同様の人材育成が、全国の行政機関でも行われるよう、色彩に対する認識がより一層深まっていくことに期待したい。 

〈松井 英明〉