一般財団法人日本色彩研究所

<研究1部報>最近の監修業務から

pen COLOR No.159掲載

日本色彩研究所では、HP内の「コンサルティング」コーナーに新しく示しましたように、企業や省庁・自治体などが抱えている、カラーデザインに関する様々な問題解決のお手伝いをいたしております。その多くは委託先や商品名は勿論、検討内容についても守秘義務により公開できないのですが、業務内容を積極的にオープンにされるものもあります。学会や論文への発表の他、監修業務がそれに当たります。公益法人としての長い歴史に基づく適切なエビデンス、色彩専門機関としての高い専門性に基づき、いわば当所がお墨付きを出すというものです。本報では、そのうち研究第1部が手がけたものの中から、比較的最近の事例をご紹介したいと思います。

視覚機能性に関する監修

  • シヤチハタ㈱「Artline ViViXのインキ色」。世界市場をターゲットとした蛍光マーカーペン(Highlighter)の新製品です。「世界で最も目をひきつけるラインカラー」であることを、測色結果と、様々な国籍・人種の方を対象とした官能評価実験結果から証明し、証明書を発行しています。商品の美しい宣伝映像をYou Tubeで観ることができます。色研による調査や結果の映像も登場しますので一度よろしければどうぞ(Artline ViViXで検索すればすぐに見つかります)。ただ残念ながら、日本での発売は現時点ではありません。
ViViX認証実験
シヤチハタ証明書
シヤチハタ㈱ Artline ViViX 実験風景と証明書 You Tubeから
ViViXクローズアップ
  • 三菱鉛筆㈱「プロッキー 新色ソフトピンク」。水性顔料マーカーの8色セットにおけるインキ色のユニバーサルデザイン事例です。従来のピンク(桃色)は色弱者には水色と区別がつきにくいことがわかり、そこで多くの人から識別しやすい新色を共同開発しました。インターネットでプレスリリースにおける商品の解説記事などを読むことができます。
プロッキー8色セット
三菱鉛筆㈱ プロッキー

色名や書籍の監修

  • ベネッセコーポレーション「こどもちゃれんじ・すてっぷ2012年4~7月号」ことばみっけ!というコーナーで、色を表す言葉についての選定と解説などを監修しました。毎月1色をテーマとし、黄、赤、青、緑のそれぞれにおけるさまざまな色名の選定と解説、色校、全般的な内容チェックなどを担当しました。
  • 岩崎書店刊「色」の大研究(全4巻)。小学生から一般向けの書籍です。身のまわりの自然から製品、街並みまでを美しい写真で示した「色のはっけん」、色の見えるしくみや暮らしの中での色の利用が書かれた「色のはたらき」、錯覚や草木染めなど「色であそぼう」、そして「色のなまえ事典」の4巻から構成されています。解説文のチェックや校正、アイディア出しなどを行いました。本書は第9回学校図書館出版賞を受賞されました。
岩崎書店刊「色」の大研究
岩崎書店刊「色」の大研究

企画展の監修とパネルや画像の制作

  • 静岡福祉大学図書館企画展「心理学に親しんでみよう~錯視と色の世界展」、同「色彩と色覚」展。前者では色研のCD-ROM「色の演習-知覚効果」や「視覚の不思議」の動画を用いて、色や視覚の不思議に関するデモンストレーションと解説パネルの作成をしました。後者は高齢者や色弱者における色の見え方などを解説しました。
  • DICカラー&デザイン「色のワンダーランド展」においても、不思議な色の現象のデモとその解説を作成し、企画展の監修を行ないました。

ご紹介いたしましたように、商品等の機能性に関する証明、書籍や記事、展示などにおける色彩に関わる記述内容のことなど、色々な監修業務を行なっております。お気軽にご相談いただければと存じます。

〈名取 和幸〉